ロバート・キヨサキ / 金持ち父さん貧乏父さん[改訂版]

2015-07-27interest 好奇心, money お金, self-dev 自己啓発/リーダーシップ

数日前久々に連絡をくれた知り合いが「昔読んでみてって言った”金持ち父さん”読んだ?」と聞いてきて、「そういえば読んでない!」と思って購入。

この本については、amazonのレビューが悪かった記憶があったのと、
この本と”不労所得”という言葉が流行った当時「働かざるもの食うべからず」という考えから、敬遠しておりました。
当時「キャッシュフローゲーム会」が頻繁に行われていたのも、mixiのコミュニティとかでよく見ていて、少々気持ち悪い印象を抱いていたのも事実。

まあ、結局のところ、ちょっと偏った方々の教本みたいになっている面は否定できないと思う。

しかし、書いてあることは面白いので「お金儲けや不労所得イコール悪」と無意識に刷り込まれている人は一度読んだほうがいいと思うし、
「君はきっと起業して成功するよ!」と言って近づいてくるネットワークビジネスクラスタの教本になっているということからも、一度読んでおくのをオススメします。



さて。
テクニカルなことはあまり書いておらず、どちらかというとシンプルな精神論、考えかたを、終始、「理解」してもらうために何度も何度も口語で繰り返し書いてある、といった印象。

いわゆる「"金儲け"はよくない」とか
「お金でリスクの高い大胆なことをするのは(あとで大変になったらどうするつもりだ?という意味で)やめなさい」とか、
「働かざるもの食うべからず」とか
そういう概念をまずは潰しなさいと。

個人的なポイントは。
・お金をどうやって儲けるかの教育は、学校では誰も受けない
・(働いてお金のために働くという方法しか教えられない) 
・お金は馬の目の前にぶら下げられているニンジンでしかない
・ポケットからお金を奪っていく「負債」を減らし、ポケットにお金をもってくる「資産」を増やせ
・人は恐怖と欲望という感情に流されている
・学ぶ前にやってみようとするな。お金の扱い方だって勉強が必要だ。(出来るようになるには時間とお金と努力が必要だ)
・法人格はなぜか個人よりも税免除される(税金でお金を持っていかれるのはもったいない)

あとは、最後の方は、
失敗を恐れない(失敗はだれでも怖いが、それを次に繋げる覚悟がある人が強い)とか、人とは違うことをするとか、強い自己抑制能力や目標が要るとか、そのへんの自己啓発系と似たような感じだった。

で、この本が叩かれる理由も少しわかった気がする。
とくに「税金は積極的に払うものではない(自分は政府にお金を持って行かれないように考えて運用している)」と、何度も明言しているところかな。
それから、例を出す際、少々他人を見下すような書き方がおおい。

大体、半分くらいまで読めば、だいたい繰り返し同じことを言っているので、後半はなんとなく「ああ、これがあと半分続くんだな」という感じで読める。

最初の「第一位の教え」が一番、ワクワクして面白かった。
小学生であるロバートさんと、金持ち父さんの最初の会話がものすごく面白い。
これ、言うとおり、そのへんの大人と全く同じ会話をしていると思う。
いますぐに税金をどれだけ払わなくていいようにするかとか、ホンマに何度も損しても耐えられる忍耐や覚悟を見につけて不労所得を得られるように頑張るかは別として、
勤労所得を減らす努力はすべきかも、という感触は強く持った。

あと、少々株とか債権も勉強しなくてはな~とも思った。
個人的には「お金はニンジンだ」が一番しっくりきたかな。
一応、すこし貨幣額をかじった身としても、「おカネ」の力を盲信しすぎているし、
なんというかオカネ自体に心を奪われるのではなく、それは単なる手段なのだから
もっと大きく物事を捉えられるようにならないとなぁと。

続きは、序盤で面白くてメモっていたセリフなど。




「悪くない。一ヶ月もたっていないのに、きみはうちで雇っている人間の大部分と同じような物の言い方をするようになった」

「のどがからからになるまで君に向かって喋り続けることもできたけれど、そんなことをしても君には何もわからなかっただろう。
だから、私は人生に君をつつかせることにしたんだ。」

もし、給料をあげてくれなくて、ぼくのことをもっとまともに扱ってくれず、お金儲けの方法を教えてもくれないんなら、仕事をやめます。

そうだね。たいていの人はいまきみが言った通りのことをする。…中略… で、新しい仕事が見つかって給料が上がれば問題が解決すると思っている。でも、たいていはそうならないんだ。
じゃあ、どうすれば?

時給わずか10セントで仕事をして、ニコニコしていろとでもいうんですか?
仕事をやめない人のうち多くはそうする。
こんな給料では家族を十分養うこともできないと知りながら、おとなしく給料を受け取る。給料さえ増えれば問題は解決すると思いながら、昇給をじっと待つんだ。

じゃあ、どうすれば問題が解決できるんですか?

ここだよ。
君の耳と耳のあいだにあるこいつを使うんだよ。


本当に何かを学ぶためには、たくさんのエネルギー、情熱、どうしても知りたいという欲望がないとだめなんだ。
怒りも原動力の一つになる。…
お金のこととなると、たいていの人は安全そうなことだけやって安心していたいと思う。つまりそこには情熱はない。そういう人は恐怖に動かされているんだ。

給料の安い仕事でもやろうという人がいるのは、そのためなんですか?

そうだよ。…中略…そのために私がみんなを搾取していると言う人もいるけれど、私に言わせれば、みんなは私にではなく自分自身に搾取。でそれているんだ。
でも、あなたはもっとたくさん払うべきだとは思わないんですか?

そうしなきゃいけない理由はないからね。
それに、給料を上げたって問題の解決にはならない。


お金のために働く方法を学びたいのなら、学校に行ったらいい。もしお金を自分のために働かせる方法を学びたいと思っているなら、私が教えてあげる。

そんなことだったら、みんな学びたいと思うんじゃないですか?

いや、そうは思わなきんだ。理由は簡単。
お金のために働く方法を学ぶほうが簡単だからね。


たいていの人はお金で動く。
それは人間だれしも恐怖と欲望という感情をもちあわせているからだ。


『いつか恐怖がなくなることを願いながら仕事をして稼ぐ、それでも恐怖がなくならないからまた仕事をしてお金を稼ぐ……』
金持ちになる方法だけを教える気はないんだ。
なぜって、金持ちになっただけでは問題は解決しないからね。

解決しないんですか?

解決しない。
…中略…人は欲望のためにも働く。つまり、お金で買えると思っている喜びを手に入れるために、お金をほしいと思うんだ。…
金持ちでもだめってことなの?

金持ちだって同じだ。
金持ちがお金を持っているのは、欲望のためではなくて恐怖のためだ。…
…つまり、貧乏な人の方が幸せってことですか?
いや、そうは思わない。
お金がなくてもいいと考えるのは、お金にとらわれているのと同じくらい異常なことだ。



ただ一つ、感情に対してただ反応する人間ではなく、それを観察して考える人間になることを覚えておくんだ。
たいていの人は、自分の行動や思考を支配しているのが感情だということに気づいていない。
感情は感情として持っていていい。
だが、それとは別に自分の頭で考える方法を学ばなくちゃいけないんだ。


たいていの人は恐怖や欲望といった感情がいったいどこへ自分を連れて行こうとしているのかほとんど考えもせずに、ただ感情に突き動かされるまま高い給料、昇給、安定した仕事を求めて一生を過ごす。
それは、鼻先にニンジンをぶらさげられた馬が、どこへ行くのか知りもせずに、重たい荷物を引いて走り続けるのと変わりがない。

… お金はニンジンなんだ。決して手に入らないまぼろしみたいなものなんだ。

人間が自分を知るための情報や知識を求めなくなると、すぐに無知が忍び寄ってくる。無知と啓蒙の戦いはその瞬間ごとに要求される決断によって勝負が決まる。つまり情報や知識を手に入れるために心を開くか開かないかを決めることで、無知か啓蒙のか、道が分かれるのだ。


…人はみんな働かなくちゃいけない、金持ちはみんなペテン師だ。給料を上げてくれなければ仕事を変わる。安くこき使われるのはまっぴらだ。この仕事は安定しているから気に入っている、とか言う人は感情で考えている。

何十億という人が、この幻想にすぎないお金を実体のある「本物」と信じているのは、恐怖と欲望のせいだ。


あるものが「資産」か「負債」かを決めるのは言葉ではない。
… 言葉ではなくて数字だ。
会計の世界で大切なのは数字そのものではなくて、数字が何を意味しているかだ。