マイケル・E・ポーター / 競争戦略論Ⅰ

2015-05-09名作, interest 好奇心, manage-strat 経営・戦略・思考

競争戦略論〈1〉
経営学の教科書…というかデファクトスタンダートということで。
世にあふれる経営学に関する書物の中身は、結局のところポーターが述べてることをこねくり回しているに過ぎない、みたいなコメントもちょうど読書中に出会ったりしました。

5章あって、1・2章は主にポジショニング、競争優位、そもそも戦略とは、という経営学ではわりと普遍的で入門的なテーマから。
なのでとっつき易かったけど、今日ではそういう意味では目新しさは無いかな。
例として出てくる企業がやっぱりやや古めの印象もありました。
ただし、さすが、競争ってどういうこと?を理路整然と述べていてすばらしいなと思う。
例えばポジショニングを習うときって大抵フレームワークそのものから入ったり、適当な例をいくつか紹介されて、「さぁフレームワークを使いましょう」と促されることが多いような気がする中で、なんでそういう考え方をすべきなのか、っていう道筋が示されている気がします。大事。

続いて3章。情報をどう活用するかという話。
これはシステムエンジニアという自分の職種柄意識しないわけにはいかないし、こういう職についていない人でも、時代的にここに書いてあることは常識となりつつあるので、あんまり気付きは無かった。
ぶっちゃけダルかったです。
いまコレを読んで気付きがあったとか触発された等の感想を述べる人がいたら、それはせいぜい40代以上の方々かつ、情報系の仕事に関わってこなかった人なのではなかろうか。


4章、衰退産業における終盤戦略。続いて、5章、競争優位から企業戦略へ。
ここも感覚的には一繋ぎで読みました。
これこそ、今流行りの情報系ベンチャーやSNS、携帯ゲームベンチャーで、かつ「数年後にはアップルみたいになってやるぜ!」みたいなことを公然と申してしまう方々に読んでいただきたい章。
(↑そんな企業いまさら無いと思ってたけど、あるんだよなぁ…)
とくに今の日本は(他の国は知らんけど)、全てを網羅しつつ成長し続けることが目標、であって、
例えば株式や会社にとってそれがよいと理論的には判断できたとしても、
「せっかく買い取った自分のものにした、あるいは精魂かけてモノにした事業部からの撤退や売却など断じて納得できん!」 みたいな… みたいな感覚がまだまだあるんじゃないかな。
成長し続ける(物理的に大きくなり続ける)なんて無理、とみんなどっかで分かっていながら、
じゃぁ、ピークがきた時、あるいはピークから下降しはじめたときどうする、っていうことを考えることから逃げている。

それはまるで、20代のときからイケイケで自分天才もっともっと成長し続ける上り詰められると思ってたら、
気付いたら50歳になってて、「アレ?自分何を成し遂げたんだっけ」「ていうかこれからどうしよう」「でも諦めたらソコで終わりだからとにかく頑張ろう」(でも、絶対に人は衰えていく)とオロオロし始めるのに似ているかも。

企業は、人生と違って、あらゆる人が価値や金銭を目的に活動しているのは間違いないから、
それを認識してもっとテクニカルに捉えることをすべきだと改めて思いました。


大企業の窓口OLとかやってたらそんな発想消えていくかもしれないけど、
でも、やっぱり多くの人間が「この企業はこうで、マーケットはこんな感じで、自分はこう。こういう風に付き合っていく」と、客観評価を常にしながらみずからとその企業とのポジショニングもすべきでは。

そうしたら少なくとも、「一生働くつもりだったのにリストラしやがって俺の人生どうしてくれるんだ、訴えてやる!」みたいなことは起こらない…かもしれないよね。