G・M・ワインバーグ / スーパーエンジニアへの道 -技術リーダーシップの人間学-

2015-12-03interest 好奇心, IT, self-dev 自己啓発/リーダーシップ

リーダーとして良いヒントになるかと思って購入。

これは「技術には自信があるけど、人を束ねるなんて無理」と思ってる人向けのような気がします。

良くも悪くも「プロマネ入門本」

「技術力に自信がなくても」良いリーダーになれるのだろうか、という問題にはあまりマッチしないかもしれませんが、多くの場合は、ある程度の経験による自信がある人がリーダーをやるでしょうから、ヒントにはなると思います。

1991年刊ですが、「プロマネ入門本」としてはとっても良く出来ていると思います。
章終わりの設問がまた、すばらしい。


ただ、七章くらいまではよくある「はじめてのプロマネ入門」本っぽくて学びがない感じがし、一度そこで読む気が失せてしまってました。
ふと、ぱらぱらと手にとって偶然開いた十四章「力はどこからくるか」で、E.T.のくだりがあったので読んでいたら面白くて再開。

なるほどな~、と、ちゃんと学びがあったのでまとめてゆきます。

第一章:リーダーシップとは、結局のところ何なのか

・結局のところ、リーダーとは他人が設定した進路を歩むことに満足しない人のことなのではないだろうか。
・人がこの世界の中でどう行動するにかについては、たくさんのモデルがある。
「直線的モデル」と「有機的モデル」がある


直線的モデル

「一つの効果は一つの原因から生起し、一つの原因は一つの効果を生む」とする。アメとムチ。正しい道は一つと信じ、そこに行けないとダメだ、そこに行くために何を改善すべきか、という一直線の考え方になる。
直線的モデルは、人々を「いかにあるべきか」という枠に当てはめて考え始めると有効性を失う。その理想から外れた他人や自分を「処置」しなくてはと感じ、他人に考え方を強制したり、自分自身を卑下(?)するおそれがある。
多数の事象が簡単な一言でうまく理解できるという良さがあり、例えば大きな組織を仕切ってスケジューリングするなど、単純化することで整理しやすくなったりする。
が、事態が複雑化してくると有効性を失ってくるという弱みを持つ。単純化するがゆえに肩書や権力、立場でものを考えがちで、変化にも弱いし、人と人との人間関係に対しても(単純化されすぎていて)あまり役立たない。

有機的モデル

直線的とは対照的で、様々な事象に心を開いて受け入れることができる。
ただし、複雑性を許容しているために、まったく行動できなくするという弱点がある。
時に間違いかもしれなくても進まねばならないこともあるので、そういうときはリスクを飲む覚悟が必要だ。

・リーダーシップは、直線的モデルでは「他人をリードすること」、有機的モデルでは「プロセスをリードすること」となる。
他人をリードできるためには、その他人が自分自身の生き方を支配するのを、あきらめてくれなければならない。

第二章:リーダーシップ様式に関するモデル

・MOIモデル
M:モチベーション(動機付け)
O:オーガニゼーション(組織化)
I:アイディア、ないし技術革新
それぞれにすぐれたリーダーを見てきたが、リーダーたちのうち、確実に成功を収める度合いの最も高い人々を見ると、彼らは全員、「技術革新」つまりものごとをよりよくおこなうための方法を重要視することを通じて、人々を力づけるタイプの人々なのであった。
もう少し詳しく見ると、次の3点に注力している。

・問題の理解
・アイディアの流れを調整する
・品質を保持する

・問題解決型のリーダーには、「もっとよいやりかたは必ずある、という信仰」が備わっているものだ。


第三章:技術リーダーの問題解決様式

・問題をしっかり理解しろ。ここでは主に仕様についてかな。
・アイディアを出しやすい雰囲気を作れ、すぐに否定するな、コピーを奨励せよ、自分のアイディアの出し引きもコントロールせよ、などの雰囲気作りの話。
・品質を管理。ちゃんと定点観測しろ、ちゃんと目的を考えて捨てるべきものならば捨てろ、など。クオリティ担保できているか?を気にしろよと。

う~んこう言われると、かなり普通のプロマネぽい要素だな、、、、
それが言われてすぐできるなら苦労しない、という感じがしてしまいます。。


第四章:リーダーはどう育つか

成長は、直線ではなく、階段式だ。 (短期間に発展する期間と、伸び悩んであまり成長しない時期(これを高原と呼ぶ)がある)
成長の前には、沈み・痛み・ブレークスルーを伴う。
高原から次の高原へは、飛び移るのではなく登るのだ。
それまでうまくやっていたと思われることを断念しないことには、登ることもできない。


第五章:でも私は……

ここは、かなり私にとって重要なので引用ばかり。

なぜ任命に寄るリーダーは、もっとも壊れやすい部分なのだろうか。
逆説的な話だが、あまりにも多くの人が任命によるリーダーの神話を信じている、ということによる。
上司も信じていれば、労働者たちも信じている。
だからものごとがちょっと狂ってくると、みんなが任命によるリーダーの方をみて、なんとかしてよ、という顔をする。
それは技術革新、つまりグループがものをやりとげるやりかたに新しい技法をつけ加える、という形のリーダーシップなのであった。
リーダーになりかかっている技術的スターにとって、もっともつらい選択は、最新の技術との接触を失うことである。
(中略)
たいていの問題解決型リーダーは、彼らの最初の成功をある一つの分野の中で、しかも多くの場合にはその高度に専門化された一領域において築きあげるものである。

第六章:技術革新への三大障害

この、人がわれわれを見るように自分を見る、ということの不可能性こそ、自己改善への最大の障害である。
これを克服するには、ほかの人に頼んで助けてもらうしかない。恐らく誰かに自分を観察してもらうための最も良い方法は、お返しにこちらもその人物を観察します、という内容の相互協定を結ぶことである。
…勝手にやるのは、どれほど相手のためと思ってもやめた方がいい。
配偶者も近すぎてストレスになるのでやめたほうがいい。

2つ目の障害は「問題ない症候群」。
つまり、「俺なんでも分かるもんね!」という勘違いのこと。若いと著しい場合が多い。

3つ目の障害は「中心的ドグマへの信仰」。
問題解決の場面において、全員全ての問題には一つただ一つの正解があり、それは見つけさえすればそれとわかるほど自明なものなのだと、文字通り信じること。


第十章:人に動機を与えることについての、第一の大障害

サティアのやりとりのモデル。
人は、伝えたいと思ったことはほとんど伝わらない可能性がある、と常に思ったほうが良い、という話。

まあ、これに関しては、そりゃそうだよね。という感じですかね。
特に女性はこのへんは天性なのかな?敏感だと思うので、納得性が高いです。

第十一章:人に動機を与えることについての、第ニの大障害

順番通りに読んでなくてすっ飛ばし中

第十二章:人を助けることのむずかしさ

青チームと緑チームの、配慮不足や自己認識の甘さなどによる、誤解の過程を紹介する。
それから、「助けたい」と思う感情に関しての誤解を解く。
このへんも、いい大人なら普通は理解しているであろうテーマなので、大きな学びはないかも。

教訓がいくつか出てくるけど、突き詰めると最後の
「ほかの人々を助けたいと望む人は、自分では気づいていないかもしれないが、一般に自分自身も何かを得ることを期待しているものだ」が解かな。

結局のところ、伝えたいことって実はあんまり伝わらないもの、という理解と、最終的には利己的な欲求であるということ、を忘れずにコミュニケーションすること。
それから、もし自分で考えて心からの援助の気持ちだと疑いようのないときは「見返りを期待していないか?相手に罵られて"せっかくやってやったのに"」と思わないだろうか?をちゃんと整理しておくこと。
かな~。

第十三章:動機づけの出来る人になるには

順番通りに読んでなくてすっ飛ばし中

第十四章:力はどこからくるか

力とは、物理的かつ絶対的な尺度で存在するものではなく、必ず他の人間との「関係」によってのみ存在する。

E.T.との、関係なさそうな、でも関係ありそうな会話のやりとりが面白いです。
地位が変わるとか職場が変わるとか、とにかく「関係」が変化するときは、つまり持っている力の存在や強弱も変化するという認識を忘れないこと。