日野眞克 / 「マーチャンダイジング」と「マネジメント」の教科書

2015-08-06interest 好奇心

スーパーマーケット現場の基礎知識本

「マーチャンダイジング」と「マネジメント」の教科書スーパーさんのシステム仕事をしている時、上司に渡されたので読んだ本。

小売の現場の基本知識は、得られる感じです。

小売と言っても、単価が安く、品揃えが多く、一度にいかに点数を買い上げてもらうか、という「スーパーマーケットの戦い方」に特化した内容なので、服飾や小さな店舗等ではあまり参考にならないと思います。

基本的には、いかに効率よくスペースあたりの売り上げを上げるかという話。


そのためには売れ筋を切れないように、けれどもその他も最適な種類・量・フェイシングで揃えるべき、
チラシの特売品で客を引き、売れすじは在庫が切れないように誰でも目に付くように大量に配置する、エンドがカギだ、などなど。

この発想が大切なのは、わかるし、まあ基礎知識なんでしょうね。
そういう勉強には調度良い本だと思います。

POS分析と相性がよく、結局はデータとその運用の話なので、POSを扱う人にもおすすめです。


マーケティング要素は一切なし

ただ、

「マーケティングせずに売り場の構成考えるの?!」

「どんな顧客が買っているか、買いに来ているかを調査せずに、ここの角を何人が曲がったとか、そんな数だけでフェイシングするの!?」
「どんな客に来てほしいという想像もせずに??」

と、売り場作りのあたりはなんだか腑に落ちない感じ。


個人的にはエンドの商品なんて目もくれた覚えがない私には、「??」
安売りのチラシなんて(事情により)見たことがない私には「???」
大量に積まれている、買う予定じゃないもの、ほどほしくならない私には「???」
むしろ、「安売りがどうこうじゃなくって、私にぴったりの商品はあるかな」と、定番の棚をくまなく探し回る私には、「????」

こんな自分は特殊じゃないと思うのだけど、
そういう客をそもそもターゲットとして捨てていることすら、自覚がないんじゃないかと思ってしまうほどだ。

「誰をターゲットにしてるかわからない」「コンセプトがわからない」
そんなものづくり、店作りはやめようという流れだとばかり思っていたので、
客の想定をまったくせずに来店数とか角を曲がった数とか、
ややこしいPOS分析とかの話ばかりを展開する内容に正直びっくりでした。

でもまぁ、マーケティングの本ではないから、こういう内容で妥当なのかなと思います。

スーパー業界を今流行の「マーケティング」っぽい視点で見る場合には、「ソーシャルシフト」をおすすめします。

こっちはこっちで極端だけどね。