吉成真由美 / 知の逆転
インタビューもの&オムニバス形式であることから、内容について深堀はできていないですが、簡単に感想をまとめました。
中身はどの章もかなり壮絶なテーマを扱ってて、それぞれ本を何冊か書ける内容。
(事実、インタビュイーは何冊も本を出しているし、それをインタビュアーが読んでいる前提で話が進む。)
それぞれ短いページで明快にシンプルにさくっと重要なことが書いてあるのだけど、それだけでは、「なぜインタビュイーはその解にいたったのか」っていうところがその道の専門家ではない凡人にはしっくりこないので、新聞の斜め読み、深みのある話しのウワズミだけ取り出した、という感じです。
まぁ、量と構成から、なんとなくそうだろうと思って購入しているので期待通りではあります。
私はそれぞれ、興味深かったインタビュイーの本を何冊かすでに購入しているし、「専門家がこんなこと言ってるけどそれって本当のところどうなんだろう」とか考えるきっかけとしては良書。
インタビュアーの前提レベルが(何も知らない一般凡人からすると)やや高かったのは気になったところ。インタビュアである吉成さんはMIT卒業生ということ(と、インタビュイーに失礼にならないように事前の勉強もしたと思う)もあって、実際のインタビューの現場でも、専門的な話やネタについてインタビュイーとさくさく進めることが出来ていたのだと思うけど、私レベルの人間がついていくためには、もう少し説明を肉付けしてくれてもよかったかな。
「未来を予言する」系の本は、統計学、政治学、心理学、理化学、その他いろんなテーマで出てくる。
数年前「20XX年を予言する」みたいなタイトルで、「思いついた専門家にテキトウ極まりないアンケートを送りつけて勝手に集計して著者の都合のいいようにマトメました」っていう最低な本を読んだことがあって、「未来を予言する系」本は注意してるのだけど、
この本は実直で真面目かつ、専門的でよかったなと思います。
1「文明の崩壊」ジャレド・ダイアモンド
これはかなり気になるし面白いテーマのひとつ。時間が空いてしまったので、この章を読んだ直後の感想は覚えてないんだけど、すぐに「文明崩壊」を購入したくらいテンション上がってました。
これはサイエンスというよりは歴史や統計学に近い「人間行動学」?みたいなテーマだと思ってて、研究したり閃いたりして解が出るようなものじゃないと思ってる。
だからこそ、偏見を出来る限り省いて、実例と論証を繰り返して「しっくりする」解を紡ぎあげていかないといけないっていうとても難しいもので、なかなか出来ないって思ってたから、この人の書きっぷりには興味が湧いたんだろうなぁ。
「カンキョウモンダイ」「セイジモンダイ」「カガクヤセイブツガクノモンダイ」「レキシトトウケイノモンダイ」っていうステレオタイプな視点ではなく、広い視野から論証と筋を通そうとする考え方にとっても共感が出来ます。
知り合いが「環境問題の人じゃん、その人の名前聞いたことある」って言っていて、「ああー……。まぁ、そうとも言えるけど、それはちょっと短絡的な見方じゃないか…」と思ったのを覚えてる。自分でちゃんと本読めばワカルよ。「カンキョウモンダイの人」じゃないよ。
文明崩壊、読書中です。面白いです。
2「帝国主義の終わり」
これ正直、核抑止のくだりしか覚えてないかも。(逆にそこはすごく頭に残ってるなぁ。核抑止は破滅に向かってるだけよっていう。)
言語学者ってことで「あなたの人生の物語」を思い出したりもしたけど、資本主義とか民主主義とか、経済学?っぽい切り口で話が進んでいき・・・・。
いまパラパラと読んでると面白く、かつ忘れてるので、もう一度読もうかな。
3「柔らかな脳」
脳科学、面白いよねー。この章はぶつ切りで読んでしまった。。浮気して「脳の中の幽霊」購入済み。
ぶっちゃけ脳の研究はまだまだ「分からない」わけで、革命的な解って無い中で、いろいろと実例を出してあーだこーだ言ってみる、というのが面白いんだよね。
普通、人は成長過程で(言語習得にあたって?)右脳より左脳が発達するのだけど、それが出来ないと逆に右脳が普通の人より発達する、みたいなくだりがあって、ほ~、なるほどなぁと思った。
だから言語障害みたいな人で、芸術センスがヤバイって人がいるのかなと。
そして、そういう能力ってのは経験から上達したり成長もしないと。なるほどー。
4「なぜ福島にロボットを送れなかったか」
この章は正直つまらなかった。目新しい考え方も論証も無かったように見えたし、「なぜ福島に遠隔操作のロボットを送り込めなかったのか」って問いに対して、「(カネになるから)計算とか情報を基にした判断の研究や、ライン工や、可愛らしい犬ロボットをつくるとか笑顔の女性ロボットをつくるとかそんなことばかりに研究が偏ったから。」って内容の回答だったのは正直ガックリした。
枕カバーに枕を入れるとかドアを開けるという動きの研究は「それをロボットが出来たところで誰も喜ばないから研究する人が少なかった」、、、そうなの?
まぁ、たしかにカネは動き辛かったのかもしれないけど。だったらなんでカネが動かなかったかってとこを鋭い表現で言ってくれればしっくりきたかな。
その後のインタビュー内容も正直、眠たいかんじ。
前後の章のエキサイティングな雰囲気が無くて、隣人と雑談するような内容にしか見えなかった。
5「サイバー戦線異常あり」
ほほう!まぁ、一応IT業界人ということでかなり興味深かった!
そして、学者っぽくない語り口はまさにMIT出身のIT起業家ってカンジがして好感度◎。
この章はぶっちゃけアカマイ社トム・レイトンさんの自伝的内容を、インタビューでさくっとまとめた、という感じ。
研究や論証やなにやらっていう事ではないので、他の章と比べると若干浮いてるような気がするけど、個人的には面白かったのでOK。
6「人間はロジックより感情に支配される
ふんふん。これもかなり軽い感じにまとまってしまっています・・・なんというか「研究者堅気の人」であるインタビュイーに、「あなたは研究者堅気としてすばらしいですよね」っていう大前提のもとにインタビューが進められている気がする。
いわゆる「自分はこうだったからこうあるべきと思う」的な内容にも見えます。
あまり発見は無かった。
以上、やっぱり面白かったのはジャレド・ダイアモンドの「文明崩壊」と、オリバー・サックスの「柔らかな脳」かな。
結局のところ、「うんうん、こういう論証だからこそ」「未来がしっくり想像できる」っていうとこが重要であって、「ここのテーマを掘り下げたら、もっと未来が見えるんじゃないか」って思わせてくれたのは、第三者的に冷静に実例と論証を繰り返すジャレド・ダイアモンドがダントツ。
でも全編とおして、興味深く、面白かったです!
















