新川直司 / さよならフットボール

2015-01-14お気に入り・おすすめ, comics 漫画



私の人生の中での傑作漫画ベスト5に堂々ランクイン。

さよならまでの過程が美しい。

リアルタイムで2巻が発売された時、平置きにされているのを見て、「読みたい!」と思った作品。
でも、「ちゃんと」読みたい作品だからこそ、1巻から読みたかった。
本屋に行くとちょいちょい探していたけど、古いのってあまり置かれて無くて。
とはいえ、漫画をネットで買うのもなぁ、とずっと思って手に取れずにいたけど、今回やっと購入。

なんでこれが読みたかったか。

『どうしても諦めきれないけど、どうしても諦めざるをえない現実に直面した時、人はどうする(べきな)のか』のヒントになる気がしたから。

このタイトルは逸品だった。


「さよなら」に、「最終的に主人公は何らかの形でフットボールを諦めて1つ大人になってしまうんだろう」というニュアンスを含ませている。
最初から、「諦めと転換」をイメージさせている。


さて。シナリオ、量、コマや絵による魅せ方、コピー(セリフ)、どれも非常によかった。
作品としてどう面白く、上手く出来ている作品なのかは、amazonのレビューの通りなので割愛。この量は私にはベストだったかな。
主人公自身や、周りのキャラクターを深ぼったエピソードとかが無くて非常に良かった。


クライマックスであるはずの「どうやって何を諦めて、どう転換するか」が出てくるまで、じっくり読みすすめて、「フィジカルにとらわれていたのは私」で、こっちもハッとさせられた。

「なるほど」「そうだ」「そうきたか」ってマジで思った。

「フィジカルで叶わないが技術力の高い主人公」が、そういう結論に至るのはものすごく想像の範囲内だと後から気づくんだけど、主人公の思いに影響されて、そういう発想が無かった。
これってすごいことだよ。
単純な論理過ぎて、なんでその道を思わなかったんだろうと思ったくらい。


そして、最後のすっきり感が半端無かった。

「ファール…」「交代お願いします」
あんなに、ここまでずーーっと引っ張ってきたその想いが、すぱっとここで終わる。

ページ数の関係ももしかしたらあるのかもしれないけど、あそこまで引っ張っておいて、終わるのがたったの数コマ以内でさくっと、というこの演出がものすごかった。
「くそ…涙涙涙」みたいな演出じゃないからこそ、グッとくる。
私はここが「諦め」だと思う。

「フィジカルを諦めてパスを回してチームで点を取りに行くという転換をした」のではなく。

「ここまでやったのに ピッチで役に立てなかった」 という諦め。

ほんで、「それでも『このなかで』やっていこう」という転換。

「女子サッカーのレベルを底上げする存在になる」という未来への示唆。



ものすごく綺麗な「諦め」と「転換」だったと思う。
「くそ…涙涙涙」ってパターンって、暗に「やりきってない」とも取れるんだな、と少し思った。
これ以上ないくらいにやりきっていたら、「あっ、ダメなんだ。」ってスパッとくるんじゃないかなと。
スポ根漫画って基本、「くっそぉぉぉぉ」みたいな展開を美とするし、この漫画もそういう描写がないわけじゃないんだけど、主人公の努力がホンモノすぎて、「逆境にも諦めない姿勢そのもの」にフィーチャーしすぎないんだよな。


そして、ものすごく大切なこと。
「楽しむ」こと。
これって手段じゃないから、想いが強いと、忘れがちになるんだけど。
でもやっぱりこれが全てだと思う。

楽しまなくちゃね!