神永 正博、小飼 弾 / 未来予測を嗤え!

2015-08-12お気に入り・おすすめ, クイック本(さくっと読める), interest 好奇心, IT, social 社会

読了! これは本屋で見つけて購入してあったもの。

昔、「未来を予測する」系の本を読んで、内容の幼稚さに非常にがっかりしたことがありまして。
ちゃんとした(統計学の危なさに関する著書を書いておられる)数学教授と、オンザエッジやDeNAに関わってこられたプログラマの対談ということで、「ちゃんとした」未来予測に関する話が読めるかなと期待。

面白いです。


とてもタイムリーなテーマについて分かりやすく書いてあるし、さくっと読めるので、一読の価値ありです。
ためになる社説を立て続けに20本読む感じです。
初版2014年12月10日。

おすすめ。

ネタがタイムリーなだけにナマモノだと思われるので、ぜひ今のうちにさくっと読んでおきたいところ。

そしてこれね、つい先日読んだ川上量生さんの対談本「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」の内容とリンクしている箇所がけっこうあって、その点も興味深かったです。
ぜひぜひ川上さんも交えて対談してみてほしい。

以下、ついメモりたくなった箇所をピック。

“欲求"が人間の武器

わからないのは「どうなる」ではなく「どうしたい」
第2講冒頭。
いわゆる「シーズ」に近いですね。
iPhoneが欲しいなんて、出てくるまで誰にも分からなかったということ。
後半、第12講でも、

人間の仕事とは「自分は何がほしいのか」を問うこと
とあります。
「やってみて初めて、"これがやっりたかった"と分かるのであって、最初からわかっている人はいない」。

続く第13講~第14講まで、「欲求こそが人間の持つ希少な資源」、それは今のところ機会には代替できない人間のお仕事という内容。

SFファンとして(?)、「人間の最大の力は"好奇心"」と考えていたので、あながち外れていないんじゃないかなあと安心。


人々がストーリーを欲するのは「コスト削減」のため

何かを理解するにはコストがかかっています。
…(略)…
だからといって自分と関わりのあるすべての人とじっくり話し合い、理解するだけの手間を掛けられるほどの暇を私たちは持っていません。
だから、脳は無理矢理ストーリーを作って、ダイジェストするのです。
第3講。
なるほどなあ!と思いましたここは。

何かにつけ、人って「ストーリー」にしたがるというか、ストーリーを欲する、あるいはストーリーがあると安心する面があって、それはなんでだろうとずーっと漠然と思っていたのですが、この説明はとてもしっくりきますね。

物語を読むのは「自分の人生の確実性あるいは多様性を増やすためのインプット」とかまでは考えたことありましたが、
何かの情報を咀嚼するにあたり、理解するコスト削減のためにストーリーを欲するというのは納得性が高いです。

この第3講の主題、「数字に注意しろ」という、いわゆる「統計は作り手の恣意が必ず交じることをちゃんと理解すること」とか「実績何%という数字に関しては、母数の定義を疑え」とかという話ですね。
グラフの話は出てこなかったけど、「グラフは縮尺を変えるだけで全く違う見え方になる」とかもイメージできない人もまずいですね。


ビッグデータの登場で推測統計学の価値が変わる

統計を利用した一般的な調査では、サンプルを取得し、そこから全体像がどうなっているのか仮説を立て、この仮説がどの程度信頼できるかを数学的な手法で検定していきます。
けれど、もし全体のデータを丸ごと集めることができるなら、検定なんて必要ありません。
個々のデータをそのまま扱えばいいんです。
なるほど。
取得できるデータの数が限られていたから、そこから一般化して「普通」という基準を作り出すことが効率が良かったわけだ。
でも、もう多くのデータを取得出来るようになったのだから、それを無理に一般化しなくてもいい、それはそのまま扱えばいいんだよと。

もう「視聴率」なんてどこの誰がどこまで信じているの?wwと、誰もが思っているはずなのに
TV業界はそれで生きるか死ぬかの合戦をしているのだからちょっと笑える。


ネットの巨人たちが未来を作る。もう勝てません。

Google、Apple、Amazon、Facebookといった企業にオセロの四隅を押さえられた状態になっていますよ。
第8講冒頭です。
一応IT業界に身をおくものとして…、というか普通のビジネスマンであればこれくらいの感想があってしかるべきか。
まあそうだよなあ、上手いこと言うなという印象。

そして、それら企業とどう付き合っていくか?という問いに対して、

Googleに代表されるクラウドサービスは基本的にアメリカに集中しています。
ということは、この問題とは要するにアメリカとどう付き合うかということでしょう。
この直後の、「もう私達は支配されている」が太文字になってますが、はたして、このIT時代に「だからアメリカとのつきあいかたという話になる」ということ自体を直視できている人ははたしてどれ程いるのか。

さらに第9講では、その支配が不安ならば、オーナーになればよいと痛快な回答。まじか。…いや、確かに。

そして、格差や貧困の話も出てきます。
例えば給料とセットで自社のストック・オプションを社員に配らなければならないという制度をつくってはどうかとか、
ベーシック・アセットとしてすべての人に公平に一律金額を出す等、提案があり興味深いです。



差を見つけろ。

これは第11講あたりの話。
研究に関してのお言葉が多く、これつまり、経済は「差」がないと生まれないよ、発展しないよという話なのですが、川上さんが言う「今は"無駄なこと"が不足している」に近いと思うのですよね。

効率化の世の中だし、論理が云々というのも大切だけど、それとは別の次元の話ですね。
どうでもいいけどこのツイートを思い出したw

第一講でも
5万部売れる本と100万部売れる本の違いは運です。
とありますし、論文もさも予想や理論通りに結果が出た風に書いてあるけど、そういうのとか「なぜ」の部分は大体後付け。

最初から何がイノベーションを起こすのかなんて分かるわけがないのですよね。



以上、
ありきたりだけど「これから必要なのは「自分がバカかもしれない」ことをきちんと認めること」(第17講)、無知の知ですね、ほんとに。
あたりまえなんだけど、特に社会的地位のある人とか、失敗してこなかった人とか、そうできない大人はたくさんいると思うので、何度でも反芻したいですね。