Goodbye Christopher Robin

2018-04-01史実に基づく・史実がベース, 洋画

Goodbye Christopher Robin: A. A. Milne and the Making of Winnie-the-Pooh (English Edition)
クマのプーさんの原作者と、その家族を描いた作品。
移動中の飛行機にて。

「プーさん 映画」「プーさん 実写」とググると、「Christopher Robin」という、日本では2018年秋公開の映画ばかりがヒットして、なかなか「GoodBye Christopher Robin」がヒットしません。。
日本では劇場公開していない様子?

公開予定の「クリストファー・ロビン」は、大人になったクリストファーにプーさんが会いに来るというファンタジー映画ですが、「グッバイ クリストファー・ロビン」は実話をベースにした作品で、ぬいぐるみが喋りだしたりはしません。

※ちなみに「さよならクリストファーロビン」はこの作品の邦題、ではなく、映画には関係ない日本人作家さんの別作品のようです。ややこしい…

プーさんを生み出した、ちょっと切ない家族の話。

「クリストファーロビン、って聞いたこと気がするあるなぁ(誰だか分からない)」という程度の「プーさん知識」のまま、しかもこれが実話をベースにした作品だと知らずに観始めたため、途中でようやく「プーさん原作者の話」ということに気がつく。

原作者である「アラン・アレクサンダー・ミルン」とその妻ダフネ、そしてその二人と一人息子である「クリストファー・ロビン」、そして乳母(?)である女性の4名がメインで話が進んでいきます。

この4名のそれぞれの関係に非常に注目で、全編通してじっくりと人間関係を描いています。

その全員が、葛藤しながら生きていたんだ、という、「ファンタジーではない一つの家族」をしっかり表現している。

実話がベースとはいえ、米作品は分かりやすいサクセスストーリーにまとめてしまいがち(それはそれでいいけど)の中、微妙な葛藤をちゃんと描いていて、そしてそれをラストに適当な方法で全回収してしまわなかったところがとても真摯なんじゃないですかね。

でも、最後は泣きましたよ。

「プーさんのキャラモデル」なんてクリストファーロビン本人以外には誰も経験できないけど、クリストファーが父ミルンに対して思ったであろう葛藤も、父ミルンがのちのちクリストファーに対する態度を後悔することも、すごく普遍的な家族像の一つだと感じました。



子供との接し方がわからない父親、教育を他人任せにする母親

色々考えさせられちゃうし、よくあるテーマすぎて、なんだか切ない方向に共感しちゃいます。

どちらかと言われれば物語の主軸は、父ミルンとクリストファーの関係な感じがしますが、妻ダフネの言動にも注目。


特に前半、妻ダフネは「悩む夫(ミルン)の気持ちを分かろうともせず、自分は1人パーティに出席するなど楽しむ」、「教育はその目的で雇っている乳母の仕事で自分の仕事ではないと思っている」といった描写が多いのですが、けしてミルンやクリストファーのことを蔑ろにしていたわけではない、ということが段々分かってきます。

当時の貴族階級としては、子供の世話にお手伝いさんを雇うのは特別なことではなかったと思いますし、彼女は彼女なりに子供のために悩んでますよね。


そして「子供との接し方が分からない不器用な父」と、「無邪気な一人息子」。
父も母もいろいろな人がいるとは思いますが、よく出てくるんですよねぇ。「子供に対して不器用な父」。

ミルンとクリストファーが(仕方なく)二人だけで生活を始めるところがあり、そのあたりはなかなかいい関係になりそうな描写でしたが、「プーさん」がヒットしだしてから、親子の関係はまた複雑なものになっていきます。
作家として大ヒットとなり、ミルンやダフネはそれはそれは嬉しいでしょうから、物語のキャラクターモデルだ、と突然世間から好奇の目で注目されるようになった幼いクリストファーの気持ちを汲みきれなかったのも、少し皮肉な展開。

最後のクリストファーの反抗とラストは少々駆け足気味でしたが、その前段が丁寧なので、大人になっても抱えていたそれは「どんな葛藤だったのか」は、十分分かるようになってます。

ティーンエイジャーの「反抗期」や20歳前後の「自立」は、「幼少期から自分の中にあった、判断軸としての"両親"との決別」といった意味合いが強いと思いますが、クリストファーが抱えていたものはもう少しほんとうの意味で反抗的です。
「親のせいでこんなに生きづらい人生になってしまった」という怒りと反抗からの、「それも含めての人生であり、許し、そして幸せの方を噛みしめる」事ができるようになるというクリストファーの成長。

そしてそれは、ミルンやダフネが決して「クリストファーはどうでもいい」と思っていたわけではなく、彼らは彼らなりに悩んだり、葛藤もあったに違いない、と、「クリストファー本人が」思える事が大事で、きっと大人になったクリストファーがそう思ってくれるほどに、彼らはちゃんとクリストファーを愛していたのでしょうね。


乳母さんもとても聡明ですごくいい感じです。
映画の中では雇い主(ミルンとダフネ)に啖呵切るシーンがあって、こちらもスカッとします。
「だったら辞めさせていただきます」と、進退を覚悟しての、「出過ぎた」最後の啖呵切り。かっこいい。


プーさん好きでなくても楽しめますし、プーさん好きも色々と気づくところがありそうな素敵な作品です。


あ!!

ところでこれ ミルン役が「アバウト・タイム」のドーナルグリーソン。
この人、ハリパタとかスター・ウォーズとかも出てるビッグな方だったんですね…。
顔にクセがないからか、全然分からない。
ある意味いろんな役ができてよさそうですね。

しかもダフネ役は同じく「アバウト・タイム」の妹役かつ、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のナオミ役のマーゴット・ロビー。

こちらも全く気づかなかった~~
しかし、本当にこういう役多いねw そしてやりきるw

もちろん、クリストファーロビン(幼少期)時代の子役の子もすごくいいです。