バナナフィッシュで学ぶ中央アメリカと中東問題
原作との違いが気になり、BANANA FISHのアニメ版を見ました。ということで、その明らかな違いとして「合衆国が軍事クーデタを起こしたい国」が「セントラルアメリカ(中央アメリカ)」から「ミドルイースト(中東)」へと変更になっておりましたので、少し違いを整理しながら見ていきたいと思います。
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以下、内容の正しさについては保証しませんのであしからず。
原作との違い
まず、原作とアニメの「バナナフィッシュをめぐる陰謀」の違いを整理しておきます。
陰謀に関わるメインキャラクター
陰謀に関わる政府側のメインキャラクターは以下の3名。この他に、最後に陰謀を横取りしようとした元軍人「フォックス大佐」や、BANANA FISHを使った人体実験を繰り返したマッドサイエンティスト「マナーハイム」などもおりますが、いわゆる陰謀の首謀者はこの3名です。
原作ではかなりリアリティのある設定となっているので、この辺も洗っておきます。
ウィリアム・キッパード上院議員

共和党の保守派で「怒れる男」 正義のタカ派。
ディノが経営する「クラブ・コッド」の客で、ティーン・エイジャーの男のコとセックスするのが趣味。
CIA長官「ロバートノートン」と旧知の間柄であり、人体実験に陶酔するマッドサイエンティスト「Dr.マナーハイム」を使役する。アッシュに一杯喰わされて失脚したゴルツィネを計画から排除しようとして、逆にブランカに暗殺される。
アーサー・スマイルズ現大統領首席補佐官

おそらく現大統領の指示で動いていて、若干弱気そうなキャラ。物語のラストで補佐官を解任される。
トーマス・ホルストック陸軍大佐

ベトナムで名を挙げた、対中央アメリカ軍事顧問で「バリバリの国粋主義者」。
キッパードとスマイルズからホワイト・ハウスに推薦された。キッパードに続いてブランカに暗殺される。
作中の大統領は「共和党」です。
ちなみにゴルツィネが買収した州知事は民主党、次期大統領候補と目される「ピーター・グラント」も民主党です。(グラントは南部リベラル派。劇中でバナナを投与されて殺され、物語を動かす)
自分に都合のいいものなら何でもするゴルツィネですから、政党など関係ないというわけですね。
現実世界では、共和党といえば現大統領「トランプ」で、民主党は「バイデン」や前回のバトル相手「ヒラリー・クリントン」。オバマ氏も民主党ですね。
1980年代のアメリカ
さて、1980年代は冷戦の後半です。 BANANA FISHの連載開始は1985年。アメリカを舞台とした作品においては 共産主義者=悪の代名詞 のような形で登場するという特徴がありますね。この作品のアメリカ政府もその趣を踏襲しています。
アメリカ国内の状況
当時の大統領は共和党のレーガン。「レーガノミクス」を実施し、いわゆる新自由主義的な金融経済政策が行われた。社会的なセーフティネットが損なわれ、経済格差と不平等がクラック・コカイン拡大の背景といわれている・・・らしい。1980年代前半は「コカイン・エピデミック」と言われ、アメリカでコカインの取引数はそれまでの倍といわれるほどだったとか。
そして、ベトナム戦争(~1975年)の影響で「反戦争論」が世界的に盛り上がった時期でもあり、アフガニスタン紛争(ソ連がアフガニスタンに侵攻して起こった紛争)にも介入している真っ最中。ついでにイラン・イラク戦争が勃発しているし、冷戦末期において代理戦争も含めかなりドラスティックに政治が動いていた時期なんですね。
ちなみにちょうどこの時期に「国際宇宙ステーション計画」をぶち上げていて、宇宙開発戦争も盛り上がっていました。
そのイラン・イラク戦争も1988年にいったん休戦となり、アフガニスタン紛争も1989年にソ連軍が引き上げて「VSソ連」としては落ち着きます。そして同年に「マルタ会談」で冷戦終結、となります。(ベルリンの壁が崩壊したのも同年。)
作中でアッシュが「アフガンの轍を踏まずに合法的な援助をするためには」と言っているように、実際、表立って軍事介入するのはアメリカ国内でも反対派が多数派となっていたのでしょう。
ちなみにいわゆる徴兵制が終わったのは1975年ですから、マックスやグリフは徴兵で兵役してベトナムに向かっていたと思われます。
中央アメリカの情勢
作中でアッシュが「西側リーダーのメンツにかけて、中央アメリカを第二のキューバにするわけにはいかない」と言っているように、キューバは社会主義国家。ソ連がキューバに核ミサイル基地を作っていたということでアメリカと一触即発状態になるキューバ危機は1962年で少し前ですね。
作中では中央アメリカの親米傀儡政権に対する反政府勢力に武器を供給していたのが共産圏(ソ連)だと政府は信じていて、「都合の悪いもの(反政府勢力)✕嫌いなもの(共産圏)」なのでこれを排除したがります。
現実でも親米傀儡政権であったニカラグアで1979年に内戦が勃発します。
長らく親米政権だったソモサ一族の独裁に対するクーデターで、これは民主化となる動きです。
このソモサ一族というのが酷かったらしい。独裁=悪というわけではなく、たとえ独裁でも人民のためを思って上手いこと統治すれば歴史上ヒーロー扱いされることもあるわけですが、このソモサ政権はそうではなかった。国内の地震被害に対する海外からの義援金を全額着服する(!?)とか、アメリカの傘にかまけて?やりたい放題やっていたようです。
だからそんなニカラグアで民主化を目指す革命というのは、どちらかといえば民主主義の権化を標榜しているようなアメリカにとっては、イデオロギーの面では歓迎すべき立場のような気がしますよね。でもこの革命派に対する反対勢力(元ソモサ派含む)を援助したのがやはりアメリカ。せっかくの傀儡政権が転覆させられたのだからアメリカは黙っていられないわけです。これのためにアメリカが組織したのが「コントラ」と呼ばれています。
この革命派(政権側)と、コントラなどの反革命派(元政権側)、両者の抗争は10年近く続き、1990年の選挙で革命派の人物が大統領に就任することでようやく終結へ。
BANANA FISHが連載開始した1985年というのは、まさに中央アメリカに過干渉している真っ最中だったわけですね。
ちなみに時代は遡るけどアメリカが中央アメリカに軍事介入した「バナナ戦争」というのがあります。これはWikipediaによれば「第一次世界大戦後にアメリカ合衆国によって行われた中央アメリカ諸国に対する軍事介入の総称」とのことなのですが…。これは偶然なのか、わざとなのか…。
「見ると死にたくなってしまう」サリンジャーのほうの「バナナフィッシュ」に掛けただけだと思っていたのですが、吉田氏のことですから、これは意図したダブルミーニングなのだと思います。
原作がいかにリアリティを持っていたか
上記の話だけでも、現実に- アメリカではコカイン取引が増大していた
- 冷戦末期であり、アフガニスタン紛争、イラン・イラク紛争などで度々ソ連と代理戦争をしていた
- 中央アメリカで親米政権が打倒され、軍事介入していた
政府高官は「アカども(共産主義者)」を近隣の傀儡国家から追い出したい。
特に革命が起きて親米政権が倒されてしまった「ニカラグア」でそれをやりたい。(作中ではニカラグアの親米政権が打倒されてしまったことは語られないが、明らかにそれを前提としている。)
しかしアッシュはディノの元でキッパードたちに「ホンジュラスでやるべき」だと言う。
理由は「南米からのコカインの重要なルートだからだ」というディノ側の都合だけど、「対ニカラグア工作などほっておいても誰かがやってくれる。それこそCIAにうってつけの仕事じゃありませんか?」ということで、おそらくすでに「革命派VSコントラ」で紛争中のニカラグアでわざわざやるより、「ひとまず親米路線の現政権だけど政情不安」のホンジュラス、しかも反共産主義勢力の拠点が多いそこでこそ、「いけにえ」が際立つ───。ということなのではないでしょうか。アッシュこわい。
ちなみに位置関係はこんな感じ。
黒がホンジュラス、赤がニカラグアです。関係ないけどキューバってフロリダから目と鼻の先だね。

一応、当時のレーガンは対麻薬政策も頑張ってたことになっているので、大統領がスマイルズを通してBANANA FISH計画を推進しようとしていたのだとしたら二枚舌?もいいところなのですが、実は作中で大統領の名前と顔は一度も出てきていないんですよ、確か。
アッシュがキッパードに問い詰めた「誰の庇護のもとで動いてる?」が最後まで明らかにならなかったのはなぜなのかと思っていたのですが、作者がレーガンをイメージしていたのだとしたら辻褄が合う・・・・・・。
また、アッシュのいう「ウォーター・ゲートは過去の話だ」のウォーター・ゲート事件は1972年。ホワイトハウスの政治スキャンダルが明らかになり、当時大統領だったニクソンが辞任することになったという大事件。マックスにとっては若い時にリアルタイムで目の当たりにした衝撃的な事件だったはず。
(実際にはFBI内部の人物「ディープスロート」がリークしたというものらしく、「真実を暴く」という意味でのジャーナリズムの勝利という感じではなかったようですが)
結局作中ではBANANA FISH計画そのものの告発はできずに終わるわけですが、「政府高官がティーン・エイジャーの男のコを買っていた」スキャンダルの告発には成功します。この程度のスキャンダルなら実際にちょくちょくあるような気がしますよね。
正直なところ普通のジャーナリストが、大統領が黙認する(もしくは指揮する)BANANA FISH計画のような国家陰謀レベルのヤバいネタを掴んだらそれこそ殺されていると思うので、「反政府軍事勢力」とも言えるアッシュが非合法に協力してくれていた状態というのはマックスにとってはこれ以上ないシチュエーションだったのではないでしょうか。そういう意味でも、バナナ計画を告発できなくてマックスは悔しいと思います。
だって「誰の庇護のもとで動いている?」が結局はっきりとわからないまま終わるのですから…。
誰にクーデターを起こさせるのか?
ところでただ一点、「誰にクーデターを起こさせる」のかが、私にはいまいちよく分からなかったのですが。善良な一般市民かな?一般市民に武器を供給?アッシュがバナナ計画の推理をマックスに語ったとき、「子供にさえ『共産主義者を殺せ!』と叫ばせることができる」とか「弱体化させた現行政府の首脳陣を国外へ政治亡命させて、新政府の後押しをするという目的で密かに軍事援助」と言っているので、クーデターを起こすのは反共産主義側だと思うのですよね。(操るわけだから実際に反共産主義である必要はないんだけど、少なくとも共産主義者が反共産主義を叫んでクーデター起こすわけにはいかないと思うので。)
そしてその文脈が変わっていないなら、その後アッシュがディノの元で「ある日新政権がコロリと誕生してもおかしくない」「…しかもそれがキューバ仕込みのバリバリの共産主義者ばかりだとしたら?」と言っているのは、「今は親米政権だけど、いきなり明日にでも共産主義政権ができてもおかしくないんだぞ、放っておいてもいいのかい?」という意味だと思われます。
ちなみにアッシュが「それこそCIAにうってつけの…」と言ったりとか、市民にクーデターを起こさせるとかいうのは、アメリカは実際に過去にやっているようです。
それが1953年にイランで行った「アジャックス作戦」。英米に搾取されていた石油利権を自国に取り戻したモサッデグ政権が転覆させられる、というとんでもない作戦。街中の浮浪者とかに金を渡して隆起させたのだとか・・・。自分で手を下さずに誰かにクーデターを起こさせる、という発想は全くのフィクションとは言えないわけですね。
でも、そもそもホンジュラス政権は「一応親米路線」で、「共産主義反対!」といって市民がクーデターを起こすというのはなんだか変な感じがしますが…。
まあ「共産主義者を殺せ!」と叫ばせるというのは比喩でしょうから、よくわからない理由でいきなり市民が現政権をぶっ倒す、ということなのでしょう…。「合法的な隠れ蓑」に隠れて支援したいなら、そういうイデオロギーは大切だと思うんだけど、そのへんはどうするんでしょうかね。
それこそニカラグアなら、親米政権が倒されて実際に革命組織に反発する「コントラ」を組織しているくらいですから、そのへんの人たちのイデオロギーを傘に「現政権反対!」とたくさんの人に叫ばせて現政権を転覆させる、というのなら分かるのですが。
アニメ(2010年代後半)では?
アニメ版での大きな違いは、グリフとマックスが行った戦争が「イラク戦争」になっていることと、政府が軍事クーデターを起こしたいのが中東になっていることで、「対共産圏」ではなく「対テロ組織(おそらくIS)」になっていると思われます。(もしかして対テロではなく「石油利権を掌握したい」が目的かなとも少し思いましたが、アニメでは一切石油については言及がなかったので違うようです。)
シンプルな違和感としては、詩を書くような優しいグリフが徴兵もないのになぜアッシュを置いてわざわざ軍人となったのかとか、ぶっちゃけテロ組織って軍隊のようなまとまった組織じゃないからクーデター起こして親米政権作ったところで解決しないのでは? というところでしょうか。
とはいえ、原作と同様に政情不安の地域であり(それは欧米諸国やロシアのせいだと思うけど…)、しかもアフガニスタンは「ゴールデン・クレセント(黄金の三日月地帯)」と呼ばれる麻薬密造地帯。そのエリアの麻薬密売ルートを押さえたいということで、ゴルツィネの目的は全く同じ、で辻褄が合います。
ちなみに原作でアッシュは中央アメリカを通るコカインのルートを掌握することで「シシリア人や中国人がゴールデン・トライアングルの覇権を争っているスキに、彼らは一気にブラック・マーケットのトップに躍り出ることができる」と言っていますが、この「ゴールデン・トライアングル(黄金の三角地帯)」というのはタイ・ミャンマー・ラオスにまたがる麻薬密造地帯。

@Wikipedia
ところでこちらも余談ですが、原作における「アフガンの轍を踏まずに合法的な隠れ蓑の元で…」という台詞で出てくる「アフガンの轍」とは、1979年にソ連がアフガニスタンに進行して起こったアフガニスタン紛争を指していると思われますが、2001年にも9.11の報復(ビンラディンを引き渡さないタリバンを掃討する)と言って堂々と介入してますよね…。なので実はアニメで仮に「アフガンの轍」と言っていたとしても意味が通じてしまうんですよ。これすごい。30年経ってもアメリカ殿はほとんど同じことしてるわけですから。
さらにその2001年の介入は一説には「アヘン・ヘロイン生産地帯であるアフガニスタンをアメリカの下に奪還するためであった」とも言われているとか…?
これは「えー!?麻薬ルートを掌握したいってこと?!ゴルツィネと同じやんけー!?」・・・ということではなく、アメリカ国内に蔓延して被害を出している麻薬をなんとかしたい(ケシ栽培を根絶したい)という文脈のようです。まあ、まさにこれも「二枚舌」である可能性はありますが…。オカネになるしね…。
さて、アニメ版では政府側は「タリア」(おそらくシリア)に介入したがります。現シリア政権はバアス党ということで社会主義国であり、アラブの春を発端とした内戦がずっと続いている状態ですから、まあわからなくもありません。
ちなみにシリアはもともとオスマン・トルコ帝国で、1916年の英仏サイクス・ピコ協定で勝手にフランス領と決められた地域(英領と決められたのがイラク)。その後南下してくるソ連ともイザコザして、現在ではISが独立国家を作ろうとしています。
そして筋書き通りアッシュが提案するのは別の国であり、それが「カフガニスタン」(おそらくアフガニスタン)です。こちらは有名な麻薬密造地帯なのでゴルツィネの目的に合致するというのはもちろんですが、現アフガン政府やそれを支援するアメリカ政府としてもタリバンとの抗争にいまいち終止符が打てずズルズル来ているわけですから、利害は一致すると思われます。
国名がなんだか一文字おかしいのは、海外でも配信されているようですし、さすがに実際の国名を出すわけには行かなかったのでしょうね。
こちらも位置関係はこんな感じ。
黒がシリア、赤がアフガニスタンです。デカイね。

アニメでのアッシュの提案の現実味
原作では「誰にクーデターを起こさせるのか」を明言はしないのですが、アニメではこれを名言してます。アッシュによれば「反政府勢力を使って過激派テロ組織にクーデターを起こさせる」「反政府勢力マリバン(おそらくタリバン)をBANANA FISHで操作すれば造作もない」。
過激派テロ組織というのは、おそらくかつてビン・ラディンが組織した「アルカイダ」のことだと思われます。
アルカイダはタリバンと因縁浅からぬ関係ですから、「タリバンをBANANA FISHで操作して、アルカイダにクーデターを起こさせる」は、理解できる。
でも、クーデターを起こして親米政権を作るのが目的ですから、現在では「反米」ポジションでもあるタリバンそのものが政権を握ったのでは意味がないはずです。となると、タリバンに政権を握らせるわけではなく、タリバンはいい感じに無力化させつつ親米政権を樹立させる、と言うことなのでしょう。
ただ、アルカイダはタリバンになにか言われた程度でアフガン全域を統一できる力を持っているならすでにそれやってますよw
それに、別にアルカイダはタリバンに付き従っている軍事勢力ではありませんから、アフガン全土をクーデタで掌握出来たあと、タリバンがアメリカ殿の言いなりになり始めたら、今度はアメリカを攻撃しますよ? もともとアルカイダとアメリカは最悪に仲が悪いんだから当然です。
なので、アッシュが言う作戦はいまいち現実味がない。
ちなみにタリバンの勢力図はこんな感じだそうです。出典はこちら。

アニメでのスマイルズの要望の現実味(アッシュとスマイルズの言う「過激派テロ」は別組織)
では、スマイルズ達が「シリアで新米政権を作りたい。なぜなら過激派テロ分子やその温床を一掃したいから」というのはどうか。ここでいう「過激派テロ分子」は、おそらくアルカイダではなく、イスラム国(ISIL)だと思われます。
イスラム国はもともとはアルカイダ系だそうなのですが、過激過ぎて仲違いし、絶縁状態らしい。
どうしてスマイルズ達の言う「過激派テロ」が、アルカイダではなくイスラム国だと思ったかというと、シリア・イラク付近を温床にしてそこでイスラム国家建国を目的に活動しているのはイスラム国だから。
アルカイダは中東一帯に幅広く分布しているのと、力をつけたのがタリバン時代のアフガニスタンなので「アフガンでクーデタ起こすべき」と言ったアッシュの「過激派テロ組織」はおそらくアルカイダですが、スマイルズたちが一掃したいと言っているのはおそらくイスラム国のほうでしょう。
(心中ではどちらも一掃したいでしょうが、シリアで新米政権作ったところでアルカイダはあまり痛くもないと思われるので。)
さてこれは、確かにシリアだけで言えばある程度現実味はありそうです。少なくともアッシュよりは筋が通ってる気がする。
安定政権があるわけではなく様々な勢力が犇めき合っているので「クーデター」という言葉はちょっと違う気もしますが、「アジャックス作戦」のように、シリア全土で勢力関係なくBANANAを盛りまくって、いきなり一斉に謎の何かを標榜して隆起してシリア全土を統一する、というならあり得るかな? かなりたくさんのBANANAと武器供給が必要ですが…。
突っ込んで言えば、正直シリアで親米政権作ったところで過激派テロ組織が一掃できることはないと思いますし、色々な国が介入している中東問題で「親米政権」を作るということ自体、やはり非現実的な気がします。
そもそも欧米諸国の過干渉やイデオロギーの押し付けが現地の混乱を招き、それが過激派テロを生む原因の一つになったのであれば、親米政権がいくらできたところでテロ自体はなくならない気がする。
逆に言えばイデオロギー的には全く欧米諸国寄りでない「民族主義」を標榜する組織を軍事支援して政権樹立&安定して運用してもらい、ウラでは石油や麻薬の利権を確保する…というのもアリなのでは。むしろ「(民族主義の)過激派テロ」をなんとかしたいならそっちのほうが現実的な感じがしますが、どうなんでしょうか。
中東問題に詳しい人に解説してもらいたいところです。
脚本家の方もこのへんをどういうイメージで描いたのかも聞いてみたいなぁ。
まとめと余談
以上、原作がいかに「当時のリアルタイムな」話題に沿っていたかという話でした。手に汗握るブロマンス、であると同時に、かなり本格的なポリティカルフィクションハードボイルドでもあったわけですね。
リアルタイムに読んでいた人でも、ニュースや経緯をある程度理解してないとアッシュが何を言っているのかよく分からなかったのでは。
尺の短いアニメでは、おそらくアッシュと英二の友情シーンに重点を置くために端折られているシーンが結構あり、上記の「政府の陰謀」に関するやり取りも台詞がかなり削られているので「ポリティカルフィクション」ぽさが薄くなってしまっている気がします。
警察サイドのやり取りも端折られてたから、ハードボイルドぽさも薄く…。
まあそれは仕方ないですね。
以下余談。
なんとなくですが、もし当時の吉田秋生氏が現代に生きていて、現代を舞台にしたBANANA FISHっぽいものを描くなら、陰謀の部分はハッキング戦争のような要素になるんじゃないかなぁと思ったりします。
「人を操り自害すらさせることのできるドラッグ」のではなく「操って一時的に天才的ハッカーになれるドラッグ」かなんかを使って、やはりどこそこの勢力を転覆させるとか、データやプログラムを書き換えて望み通りの何かを作るとか。もちろん生身のコマも必要でしょうけれど。
結局ジャーナリズムは「いかに公に出すか」という点で変わりがないのでマックスはやってること変わりないと思いますが。笑
いやー、今度はウォーターゲートを題材にした映画を見たくなりました!笑
参照:
「コカイン」はどれだけ「ヤバい」のか
https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20190315-00118364/
アフガニスタン:タリバンの復活と現状
https://globalnewsview.org/archives/10141
エネルギー権益からみたアフガン戦争
http://eritokyo.jp/independent/column/energy-bush/energy-bush1.html
その他諸々はWikipediaを参照。
















