The Theory of Everything 博士と彼女のセオリー

2017-04-17史実に基づく・史実がベース, 邦題が残念, 洋画, space 宇宙

「なんでこの邦題にしたんだ」シリーズ化しよう…笑


久々に逸品な伝記映画

かの有名なスディーヴン・ホーキング博士”夫妻”の、恋愛と生活の部分にフォーカスした伝記映画。

脚本は(前)妻であるジェーン氏が何度もインタビューを受けて作られている上、
映画の出来に関してはスディーヴン・ホーキング博士もご公認らしい。
(後半の機械音声はご本人が提供とのことなので、まあこれ出演してるようなもんだよね?)

全体的に素晴らしい出来だと思います。

伝記は都合のいいことは起こらないので、嬉しい事や苦しいこともヘンに劇的に脚色せずに上手く活かしながら、いかに「色々あるけどやはり素晴らしい人生」みたいなものを描けるかが大事。

本作は”夫妻”を非常にリアルに描いていて、どちらにも感情移入できます。
ジェーン氏の「どうしようもない」気持ちも、スティーヴン氏の「どうしたくてもただただ受け入れるしかない」気持ちも。。

ジェーン氏の「介護が大変」的な描写は少なかった、というか敢えてそういうエピソードを入れてないとすら思うくらいでした。(私には。だって下の世話の話とか、食事やお風呂の介護とか一切出てこなかったよね?)
でも、子どもも世話しながら夫の世話をして、大変なのは誰が見ても明らかだし、「わざと」そういうエピソードを入れてない、のであれば、それも素晴らしいと思います。
強調したいのはそこじゃないはずだし、情景描写でそれを必要十分に伝えることに成功しているということなので。

それでいて、ジョナサンに出会って「一人ではできないわ」と言い出すあたりとか、喉の手術をしてパネルで「グリーン?ブルー?」と泣きそうな顔で繰り返すジェーンとか、も~これは主婦は涙腺崩壊ですよね。。。
その時のスティーヴン氏の気持ちも考えると胸がいたい。。

途中でエレーン氏が「こんなに頭のいい患者さんは見たことがない」と言うように、純粋に勉強ができる的な意味だけでなく、運命を受け入れる明晰さというか、そういうものを持っている方なんだろうなと思う。


演技・音楽

そしてなんといっても、主演エディ・レッドメインと、妻ジェーン役フェリシティ・ジョーンズがめちゃくちゃ好演です!!
素晴らしい。
ジョナサン役のチャーリー・コックスも素晴らしいです。

主演に関しては最初のビジュアルからして「似てる!!!」と思いました。
口が大きくて特徴的だよね?ホーキング博士って。

そして「理系」っぽい感じもまさしく!でした。
不器用でロマンチストでヲタクで頭よくて、そしてめがね!!!
うーん、萌える。

ALSの表現がどれくらいリアルなのか、身近にいないのでわかりませんが、非常にリアルな感じはしました。
病気に関する役作りも絶賛されているようなので、相当自分(の精神状態)をその状態にもっていく努力をされたんでしょうね。
役落としも大変そうだ。


それから音楽、あまり特徴的な音楽は流れてこないのですが、若干エレクトロっぽい環境音楽がすごく本作に合ってます。

ワーグナー好きの天才理系学者を描くのに、オケと電子音で環境音楽作ってくるっていうセンスがまたいいですね。


小言

さて、邦題!!!!

またか。

これ原題の直訳は「万物理論」ですよ。

理系は夢見ること間違い無しのこの「万物理論」というタイトルで、ホーキング夫妻の愛や生活を描くというところがイイのに、「博士と彼女のセオリー」ってなんだよ…。

観終わった後でも、正直、邦題の意味がよく分かりません。

日本人て遠回しの「察して」文化好きなのに、なんで洋画の「一周回って察する」逸品なタイトルをいつも無視して、安っぽい月九ドラマみたいなタイトルにするのかね…。


それから、当然ながら宇宙物理学の云々、みたいなものもあんまり詳しく描かれません。
それは主題じゃないので当然ですけども。


尺に対してエピソード配置はかなり上手い作品だと思いますが、お子さんのエピソードが皆無だったので、これは個人的にはもうすこし観てみたかった。

お子さんの著書とかあるらしいので、ぜひ読んでみたいなと思います。