アルマゲドン(1998年)

2019-12-04洋画

ず~っと観たいと思いつつも、一度も観てなかった作品。

これ「タイタニック」と同時期に公開した作品らしく、1998年ですね。
「タイタニック」もそうですが、この時期は大人を泣かしにかかる名作が豊作!


肉体が世界を救う

一言でいうと、号泣した・・・・。笑

普段の私なら「ありがちなヒューマンドラマで、SFとしてはイマイチ」とかなんとか言っていたに違いないのですが(笑)、いやいやいやいや、もう、主人公がスカウトされるあたりから、もうずっと号泣です。


主人公ハリーは海上の石油採掘の仕事をしていて、界隈では有名なベテラン。
汚い&危険というその仕事を、ヤンキーみたいな仲間とこなしているが、娘のグレースとはよくケンカし、その彼である部下AJにもショットガン取り出してぶっぱなすという大喧嘩をしているw

そんな中、地球に隕石が迫り直撃しそうであり、隕石の軌道を変えたり粉砕したりする手段がない(!!)という大ピンチのインテリな方々…。

方法があるとすれば、隕石深くに核爆弾を仕掛け、隕石の内部から爆破粉砕するという1案だけ…。
そして核爆弾を隕石深くに埋め込むという作業のために、海上で命がけで巨大ドリルで穴掘って石油採掘してる、というハリーにスカウトの依頼が来るわけです…。

スカウト自体は、いきなり「おまえさんが行ってくれ!」という赤紙的な内容ではなく、全人類の命運をかけた精鋭部隊を緊急で訓練しているから顧問になってくれという依頼なんだけど、「こんなひよっこ集団絶対無理だから、俺が普段の仲間とやる」と、決意をするわけです。


正直ね、まずこの展開、結構アツいです。

「俺が仲間とやる」という決断をした方ではありません。
インテリでない方々が「肉体と、そこに刻み込まれたセンスと、培われた仲間との信頼」で肉弾戦で世界を救うっていう発想がアツいです。

最近は技術者やインテリが世界を救うパターンも多い気がするのですが、インテリ集団でもある「NASA」に、人類の希望として召喚されたのが「肉体で戦っている」タイプの主人公たちであり、彼らに命運をかけるしか道はないという展開。

思考や知識やメンタルなどいわゆる「インテリ」要素はもちろん、当たり前だけど物体世界に生きている我々は「肉体」のパワーを古くさいものとか危ないものとして考えるのではなく、大事な要素の一つであるとしっかり認識したほうがよい。(「筋肉は裏切らない」という筋肉ブームもちょっと同じ流れを汲んでたりするのでは?w)

部活が無くなったりスポーツ界でパワハラモラハラが云々と盛り上がっていて、それはもちろんダメだけど、肉体を鍛え他者と連携をとる能力というのはやはり大事で。
思考や知識やメンタルとあわせて、肉体を鍛え上げ、筋肉をつけ、センスを磨き、他者とハイレベルな連携をとれるという力をもっと信じてもいい、と、なんとなく思ったのでした。
(そういえば銀英伝でも「大事なところはほぼ白兵戦やないかw」と思った記憶があります…)


それにこの「一見、(その問題とは)関係なさそうな人物がヒーローになる」というのは定石だと思うけど、こんなに美しくハマったキャラクタ設定ははじめて観ました。

「実はあなたには隠れた能力や出生の秘密が…」とかもないし「問題の方が主人公側に合わせてくれた謎の仕様になってる」とかでもない。

まさしく「彼しかいない」であり、ハリーは本人でその能力を得、誇りに思っているわけです。

ここの設定が「はいはいお涙頂戴したいだけのご都合春菊」ってな内容だったら、たぶん泣いてないと思いますw

単純明快であり、考察なしに感情移入できる

「地球に危機が迫り、一般人がヒーローとして人類を救う」というのは奇をてらわない分かりやすい構図なので、「アルマゲドンシリーズ」(?)と呼ばれるように類似テーマでいろいろな作品が出ているのは納得です。

というかこの構図自体が王道過ぎて似たようなのはいっぱいあるのでしょうね。
「ディープ・インパクト」も類似の内容らしい。知らなかった。(見てません。)

あとこれ「パニック映画」というジャンルなのですね。

そりゃあ観ないわけだ。ジャンルで認識してたら絶対見てないです。
珍しく観たから感動したんだと思うし、引き続き積極的には観ませんw


それにしても単純明快でなんの考察もいらないし、大人になったからなのか親子の下りは全体的に号泣でした…。
私も頑固親父と大喧嘩してきたタイプなのでグレースの気持ちめっちゃわかる…。

グレースが出発前に甘えるAJに「同じことをしているカップルは地球上にどれくらいいるのかしら」みたいな台詞を言ったとき、「ママ・・・・」と謎に感動しましたね。
これつまり、(≒だからあなたは自棄にならずに、そして絶対にこの世界を救わなくてはいけないのよ)という意味だと思われます。
「自分たち」の視野が突然地球レベルになる、という魔法の一言だよなぁと思ったのでした。


あと、涙腺を刺激したのは親子劇や出発前の複雑な感情たちだけではなく、「ひとりも死なない」と思ってた仲間のクルーが割とサクサク死んでいくというところです…。
「準主役級である仲間たちは死なない」と思ってた私が少年漫画脳だっただけなのでしょうが…。
2隻出発して、そもそも1隻しかちゃんと着陸できないってなんなのかしら。悲しすぎない…。


ま、それも含めてもうほぼ何の解釈もいらないので、頭空っぽにして見れる。これぞエンタテイメント!

たまにはこういう作品がええで…。


ところで、最後の「誰かが残って手動で爆破ボタンを押すしかない」となったシーン。
あれは公開直後から大ヒットを飛ばしていた「タイタニック」を意識して、死なない予定だった主人公が残る(死ぬ)という、よりお涙頂戴の方向に変更をかけたらしいですね。
確かに「結局迷惑かけただけやんけ」みたいな仲間が1人いまして、最初はその人が「残る人」となる予定だったらしい。(迷惑ばかりかけてたけど、最後はみんなの役に立ちたいんだ…みたいな感じ?)

それはそれでどうなの?(見てみたい!)という気もしますが、まあ、序盤から、主人公が終盤に向けて彼を認め、娘を託すという演出がされるのは分かりきってたので、ジャンケンで残ることになった彼に代わって主人公が残るという決断をするのも全然おかしくなく、急に変更かけた割には素晴らしかったな、と思います。



宇宙空間の物理描写は割と適当らしいのですが、設定が逸品だったので、そんなのはヨシ!笑

パニック映画もたまにはええのかも、と思った作品でございました。

(そして結局、迷ったけどSFには分類してません^^)