La La Land(ラ・ラ・ランド)

2019-09-12洋画

劇場にて。
世間的評価も、周囲の評価も良かったので期待。


踊りたくなるミュージカルコメディ

全体的にまとまっていて観やすい。

ミュージカルパートはさすが力を入れているだけあって、曲、フリ、演出、どれをとっても良かった。
演出にはこだわっているっぽくて、しっかりそのこだわりが出てたかな。

耳につく曲を何度も流すので、これはサントラ欲しくなるし、サントラ聞いたら踊りたくなりますね。

印象深かったミュージカルパートは:
序盤、女4人で原色のカラードレスで夜の道をラインダンスするところ。
夜景を見ながら「隣りにいるのがお前で残念」って言いながら踊りだすライアンとエマのところ。

これは両方胸熱!

そしてなにより、エマとライアンの演技がめちゃくちゃいい。
曲(ミュージカル)と、二人の演技でほぼ全て出来上がってる感じ。
当初、エマ・ワトソンでキャスティングする予定だったらしいんだけど、エマ・ワトソンじゃなくて本当に良かったと思うよ。

ミュージカルパートへの導入もあまり不自然なシーンがなく、苦手な人も観れるんじゃないかなーと思います。(強いて言えばオープニングは、パロディにされるくらい不自然ですが…w)

「若かりし頃のこっ恥ずかしささ」に浸れる作品

と、全体的によかったのですが、後味は「軽いなぁ」でした。

もう一度観たら感じ方が変わるのかな?

ストーリーの大枠は、「若い頃(将来への転機になる時期)に出会った男女が、互いに夢を応援し支え合ったからこそ、未来でそれぞれが成功する」というもの。

「軽い」理由は2つ。

まずストーリー。

敢えてストーリー自体には重みをつけなかったのでは?と思うほど、軽いです。

「ありがちなストーリーだけど、演出やエピソードによって、とても感動する作品」ってのはたくさんあると思うのですが、「コメディ」と謳ってるのもあるからか、どうも軽い。

ストーリーだけで言うなら、むしろ同系統の「パラダイスキス」原作をおすすめします。
最後、ミアが夢を叶えたのはハッピーエンドとしてスッキリする展開なのですが、相手役であるセブは本当に夢を叶えたのでしょうか?
昔のジャズをやりたい、と息巻いていたはずのセブが、お洒落な今風ジャズバーを出して(満足して?)いるっていうのは成功じゃないのでは?という見方があるらしい。確かに。

「あの頃、お互いの夢をお互いに励ましあったからこそ、成功した今がある」という感じも、あんまりしません。これを描くのが、中盤の「City of Stars」というミュージカルパートだったと思うのですが、このパート、それを全然表現してません…。
もちろん、それぞれ認め合い励まし合ってはいたんでしょうが、「あなただからこそ」っていう感じが全くしなくて、まあ、同居人、夢追い人として、お互い頑張ろうよ、くらいの軽さ。。

それからミュージカルパートの中途半端さ。

さっきミュージカルパートは褒めましたがw

ミュージカルパートって「言葉に出来ないこの気持や、うだうだ表現していられないこの情動を、歌と踊りで表現する」重要なパートになるところだと思うのです。

例えば、
  • セブは、不甲斐ない自分だけど、それでもミアとの未来や、ミアの夢のために、悔しいけれど夢を諦めた
  • ミアは、セブが自分のために夢を変えたことを知り、それでも「夢を追う熱いセブが好き」だから、彼のために別れた
  • 二人が夢を志したきっかけや、いままでの辛さ、それでも諦めきれない想い
というテーマが本来あったと思われるのですが、こういう心の揺らぎらをちゃんと表現してないんですよね。。

例えば「Dreamgirls」や、劇団四季の「ライオン・キング」とかは、このあたりめちゃくちゃ素晴らしいのです。ビヨンセの「Listen」とか、ライオンキングの「シャドウランド」「終わりなき夜」とかは逸品。

そんなわけで、「軽さ」が後味引きずります。

心理描写が全然ないので、二人がすんごい薄っぺらく見えてきます。

喧嘩のシーンはリアリティがあって泣きましたが、二人の歳をよくよく考えると、「セブもミアも、それくらいは真面目に相談しようよ」みたいな内容なんですよねw 相談して、あるいは相談しなくても、お互いその葛藤に悩んでいて、という描写があるならともかく、それもなかった。

というわけで、この作品、もしかすると
「若かりし頃の、あーもうバカじゃないのww」っていうのを楽しむ作品なのではないでしょうか。笑
「情熱的な二人が、熱情に渦巻く夢への葛藤と恋心に向き合いながら成長していく」物語だとするなら、ちょっと演出不足かな。

小言

ついでに、二人が付き合うことになるミュージカルパート「プラネタリウム」は、「カメラが常に引き」なのが、このシーン台無しにしてると思います。
こここそ二人の「表情」が重要だと思うんですけど、ずっと星空CGの中の遠くの方でくるくる踊られてもねぇ…。星空CGがうざすぎて、本来ミュージカルパートで見どころのはずの「二人のダンス」も全然わかんなかったし…。FinalFantasyⅩの水中のキスシーンの方がよっぽど優秀です。

逆に、「むしろこれこそが、まさに表現したかった古典的なミュージカルだ」ということならそれはそれで興味がありますが。

かなり大事な曲のはずの「City of Stars」部分についてもツッコミたいけど、このくらいで終わりにしておきます。w