スティーヴン・スピルバーグ監督 / Lincoln リンカーン

2016-03-14史実に基づく・史実がベース, 洋画

名物・金庫番が解き明かす 3つの近未来にて登場したので、ぜひということで。

好演、演出もいい、内容も地味だけど面白いです。

リンカーンの一生、みたいなドキュメントかと思っていたのですがそうではなく、いわゆる奴隷解放宣言に関する法律を可決するまでの短期間、いかに票を集めるかという政治的工作の話です。



南北戦争の勉強になる

恥ずかしながらアメリカの南北戦争についてはほとんど何も知らなかったので、登場人物たちの会話にいまいちピンと来ていませんでした。

このサイトさんのレビューや色々と記事を漁って基本知識を得ると、「なるほどそういうことだったか」と。

インディアンの迫害についてはむしろ積極的だったと言われているんですね。
まだまだ不勉強な点もあり、私は一概に「リンカーンは本心から聖者であったすばらしい人」「下心なしに純粋に黒人解放を願っていた」とは思いませんけれども、
アメリカで唯一大きな内戦であった「南北戦争」、
そして今でも人気上位である「リンカーン像」、について、
アメリカと付き合っていく上で当然知っているべきレベルの基礎知識の勉強にはなったかなあと思います。

ちなみにこの合衆国憲法修正第十三条が可決された1865年といえば、日本では徳川が幕府をやっていた時代ですよ…。
なぜか日本史のほうが、恐ろしく昔に感じますなあ。
この後すぐ明治ですので、日本も激動の時代だったんですね。面白いです。

そういえば、海外では戦争は「陣取り合戦」の歴史なのに対し、島国かつ国土の狭い日本では「椅子取り合戦」の歴史なのだと習いましたが、まさにという感じですね。


アメリカの大河ドラマ

観終わった後、映画のレビューを観ていたら、「アメリカ人のアメリカ人によるアメリカ人のための、美化した偉人を賞賛して楽しむ映画」という趣旨の意見がちらほらあり、なるほどなあと。

多分、日本人が、何度も繰り返し観ている織田信長のエピソードや、新選組の大河ドラマ、時代としては坂本龍馬のエピソードで盛り上がるのと同じなんだろうなあと思います。

同胞向けの映画というか。
内輪向けな感じがしました。
これですごくしっくりしています。

なので、まあ「政治的な意味合いを強く持ってインディアン迫害については触れずに賞賛する内容である」とも思わないし、エンターテイメントとして云々とも思わないです。

純粋に「アメリカの大河ドラマ」ですよと。

とにかく、勉強になって面白かったです。